「ゲス不倫」「文春砲」は英語で何という? – 英訳が難しいビジネス英語表現

デイビッドセインさん 辞書を引いて英訳した単語が、海外では異なって解釈されていることがよくあります。当シリーズでは英語、日本語両方を熟知し、多数の英語書籍を出版しているデイビッド・セインさんが言葉の意味や用法、また文化背景について解説します。

第10回は最近メディアによく登場する「ゲス不倫」「文春砲」の英語表現を解説します。

「ゲス不倫」を英語にすると?

 今月はちょっと趣向を変え、下世話な話題を取り上げてみましょう。一昨年あたりから世を賑わせている「ゲス不倫」と、昨今、賛否かまびすしい「文春砲」です。下世話といえど、この2つならどんな英語になるか気になるでしょう?

 まず「不倫」を英語にすると have an affairget involved with, cheat on someone, be a two-timer, have a fling with someoneなどです(ちなみにflingは日本語の不倫と音も似てますね!)。

 ではこれに「ゲス」が加わるとどうなるでしょうか?「ゲス」という言葉には批判的なニュアンスが含まれるので、cheatを使うといいでしょう。cheatには「ズルをする」の他に、「(人を)裏切って浮気する」という意味があるので、まさにここではピッタリです。さらに徹底的に蔑むなら、

He cheated on his wife. He’s such a slimeball.
彼は妻を裏切って浮気をした。彼は最低のゲス野郎だ。

なんて言い回しができます。またdirtyを使って、遠回しに表現してもいいでしょう。

She had a dirty affair with the director.
彼女は監督と淫らな不倫をしていた。

他にdegenerate, deviant, dirtbag, dirtball, pervert, scumbag, sleaze, sleazeball, slimebag, slimebucketといった言葉でも「ゲス」は表せます。

That pervert had an affair with his wife’s friend.
そのゲス野郎は奥さんの友達と不倫関係にあった。

That dirtbag is always having a fling with someone.
そのゲス野郎はいつも誰かしらと不倫している。

「文春砲」を英語にすると?

 もう1つ今話題の言葉といえば「文春砲」でしょう。固有名詞をもじった言葉を英訳するのは難しく、正確に訳すならば「文春」はbunshunですが、それでは外国人に通じません。あまり面白くはないでしょうが、a big scandal in a weekly magazine ならば通じます。
では、最後に例文でおさらいしましょう。皆さんも日本語を見て英訳に挑戦してみてください。

1) 彼女はゲス不倫で舞台を降板することになった。
=>Her perverted affair got her dropped from the role.
=>After her dirty affair exploded in the press, she got kicked off the movie.

2) 彼の行為は「ゲスの極み」だ。
=>What he did proves he’s a complete degenerate.
=>He’s such a big dirty scumbag.

3) あのキャスターは、文春砲で泥沼の「W不倫」を糾弾された。
=>The newscaster was bombed with criticism for her messy affair with a married man by a weekly magazine.
=>The newscaster had a sleazy affair with a married man, and now a weekly magazine is on her case.

 高尚な英語便のサイトでこのような記事を紹介しては…とも思いましたが、表もあれば裏もあるのが世の常、たまにはこんな記事もいいですよね?