前項記事「あなたの英語試験、近い未来こう変わる?!-マルチステージ・アダプティブ方式とは」でご紹介したように、適応型試験(MST)は、受験者の解答に合わせて問題が変化する「次世代のテスト形式」です。GREやTOEFL Essentiolでは、すでに導入されているこの試験方式では、これまでのように「量をこなす」「過去問を回す」試験対策では実力が十分に発揮できない場面も増えていきます。
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=> あなたの英語試験、近い未来こう変わる?!-マルチステージ・アダプティブ方式とは
では、どのような学び方がMST時代に合うのでしょうか?
本記事では、スコアだけでなく“本当の実力”を最大化するための5つの学び戦略を分かりやすく紹介します。
① 最初の問題セット「中レベル」の攻略が重要
多くのMST形式では、最初の問題セット(Stage 1)が「中レベル(ベースライン)」 に設定されています。ここでの正答率が高いほど上位ステージに進み、逆に取りこぼしが多いと、下位ステージへと分岐します。
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「中レベル(mid-difficulty)」は、一般的な”平均レベル”とは異なります。受験者の力を最も正確に測定できるよう、テスト設計側が基準として設定した難易度帯(ベースライン問題)を指します。
※ 多くの資格試験では、「中レベル(ベースライン)」のサンプル問題を公開しています。 |
つまり、MSTで高得点を目指すなら、最初に出る標準問題(中レベル)を取りこぼさない精度こそが最重要 ということです。
どれほど難問に強くても、“入り口の標準問題”を確実に取れなければ、スコアの上限が届きにくくなってしまいます。
② 苦手分野の補強がスコアに直結
MSTでは、受験者の解答パターンから「今の実力」を推測し、次のステージで出す問題の難しさや構成を変えていきます。
試験にもよりますが、より高度な方式では、特定スキルが弱いと、「その弱点をより正確に見極められるような問題が出される」といった細かな調整が行われます。
例:
• 文法:関係詞だけ弱い
• 読解:説明型パラグラフが苦手
• リスニング:要点把握だけ苦手
このように”部分的な穴”があると、そこで判断が下されやすい仕組みになっています。したがって、「得意なものを伸ばす」よりも、「苦手の穴を埋める」ほうがスコアに直結すると言えます。
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MSTには2つのタイプがあります
(1) ブロック型(基本的なMST) (2) 高度なMST(より細かい調整を行うタイプ) ※ 各資格試験で、どのタイプが使われているのかは一般には公開されていません。 |
③ “1回ごとにフィードバックを反映する”学習
MSTの本質は、進みながら実力を測り続ける点にあります。
これに合わせるように学習するなら、「解く → 分析 → 修正 → 再挑戦」の短サイクル学習が最も効果的です。
• どこでミスした?
• なぜ間違えた?
• その問題はどのスキルを測っていた?
• 同タイプで再挑戦したらどうなる?
このように、小さな改善を高速で回す習慣がMSTと相性抜群です。
④ 出題意図を読む“洞察力”をつける
MSTでは問題が進むたびに、受験者の「能力推定」が更新されていきます。
もちろん、1問だけで弱点と判断されるわけではありません。しかし、特定の問題タイプで誤った解き方を繰り返すと、そのスキルが弱いと推定されやすくなります。
したがって、問題を見た瞬間に、
• これは語彙力を測る問題か?
• 推論力(inference)を測っているのか?
• 文構造理解(structure)か?
• 要点把握か?
と 出題意図を瞬時に察する力 が極めて重要になります。
意図を誤解したまま解答すると、“能力が弱い”と判定され、次のステージに影響し、最終スコアにも響く可能性があります。これが、一般試験以上に”読解力より洞察力”が問われる理由です。
⑤ 「適度な負荷(Desirable Difficulty)」で学ぶ
適応型試験は、受験者に”ちょうどよい難しさ”を提示する設計です。
学習も同じく、
• 易しすぎる → 伸びない
• 難しすぎる → 続かない
一番伸びるのは、
「少し背伸びすれば解ける」レベルの問題
このレンジの問題を日常的に解いていくことが、MSTとの相性を最大化します。
まとめ:自分の理解度に合わせて学習を最適化する姿勢
MSTは、受験者に合わせて問題が変わる試験です。
だからこそ、学習者側も 「自分の理解度に合わせて学習を最適化する姿勢」 が不可欠です。
• 標準問題を確実に取る
• 苦手分野を部分的に補強する
• フィードバックを即反映する
• 出題意図を察する
• 適度な負荷で練習する
この5つが、「MST時代の伸びる学習法」です。
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