「文法は合っているのに読みにくい」を解決する最重要スキル
英文は文法が正しくても、読み手が「ん? なぜこうなるの?」と感じてしまうことがあります。その原因の多くは Coherence(コヒーレンス:論理的なつながり) にあります。
この記事では、英文が「自然に流れて読める状態」とは何かを、具体例を交えて解説します。
![]() |
Coherence は英検ライティングでも重視されており、 Content / Coherence / Vocabulary / Grammar の4つの採点項目の1つとして評価されます。 |
Coherence は単なる「接続詞の使い方」を問うものではなく、文章全体の読みやすさ・論理的まとまり を判断する指標です。
Coherence と Cohesion の違い
まずは混同しやすい2つの概念を整理しましょう。
• Cohesion(コヒージョン)=文と文をつなぐ“装置”
接続詞(however, because, therefore)、代名詞(this, it)、指示語など
• Coherence(コヒーレンス)=文章全体の“流れ・まとまり”
主語の流れ、段落構成、情報の順序、論理展開など
![]() |
Cohesion は部品、Coherence は設計図。 どれだけ接続詞を使っても、設計が悪ければ文章は読みづらくなります。 |
「文法は正しいのに読みにくい文」の典型例
まずは Coherence が弱い例文を見てみましょう。
I think technology is important. I like reading books. For example, I often use my smartphone. Many people read books on their phones.
文法的にはすべて正しい文です。しかし、話題があちこちに飛ぶため、読み手は「結局何の話?」となってしまいます。
Coherence を作る3本柱
英語の文章の“読みやすい流れ”は、主に次の3つで決まります。
1. Topic(話題)を一貫させる
❌ Topic が一貫していない例
Many people like going shopping. Online shopping is popular today.
It is convenient because we can save time.
![]() |
メイントピックが • 「外で買い物に行くこと」なのか • 「オンラインショッピング」なのか が曖昧で、It の指す内容も不明瞭です。 |
✅ Topic が一貫している例
Online shopping is popular today. It is convenient because people can save time and avoid crowds. For this reason, many people prefer it to shopping in real stores.
![]() |
主語と話題をキープし、because や For this reason を自然に使うことで、 文章の流れがスムーズになります。 |
2. 情報の順序をそろえる
英語では、以下のように 一貫した順序で情報を並べることが重要です。
• 原因 → 結果
• 主張 → 理由
• 問題 → 解決
❌ 順序があいまいでつながりがわかりにくい例
Because people throw away trash. The government made new laws.
My city is clean.
![]() |
何となく状況は伝わりますが、なぜ “My city is clean” なのか が論理的につながっていません。 |
✅ 一貫した順序(原因 → 結果)
My city is clean because the government made new laws. As a result, people are more careful about throwing away trash.
![]() |
順序が整い、適切な接続詞を使うことで、文章の意味的つながり(Coherence)が一気に強くなります。 |
3. 話題の脱線に気を付ける
1つの段落では1つの話題を追求すべきで、複数の話題を書くときは、きちんと段落を分けるべきです。しかし書き手は、途中で別の視点を思いつき、同じ段落内でつい話が脱線してしまいがちです。
❌ 脱線してしまう例
Online classes are convenient for many students because they can study at home.
However, some students also feel nervous before exams and cannot sleep well.
![]() |
オンラインクラスの利便性について述べていたのに、途中で 試験前の不安 という別テーマに移ってしまっています。 |
✅ 脱線せず、話題を統一した例
Online classes are convenient because students can study at home and save time by not commuting.
![]() |
同じテーマを追求することで、文章にまとまりが生まれ、読み手が迷わなくなります。 |
知っておきたいポイント:Coherence は接続詞だけでは作れない
多くの学習者は、読みづらい文を「接続詞を足して」改善しようとします。
しかし、話題のまとまり や 説明する順序 が整っていないと、
いくら接続詞を追加しても、まとまりのない文章になってしまいます。
• 接続詞でつながるのは文と文
• Coherence を作るのは 論理の流れそのもの
この違いを理解することが、読みやすい文章の第一歩です。
後続記事では、英検ライティングでcoherenceのスコアを落としてしまう例をご紹介します。
英語便スタンダードコースで、自分の文章と向き合ってみませんか?
日記や自由作文の添削受講のほか、Writingツールを使って、描写力、説明力、ディベート力、Small Talk力を磨くことが可能です!
講師はプロ作家やジャーナリスト。AIでは生成できないすぐれた表現を指導します。



