英文メール – 添削で見る新入社員・内定者研修でよくある間違いベスト5

 仕事に就いたばかりの人にとって、フォーマルな文章を書くことは難しい作業になります。ましてや、英文メールとなればより大変です。近年は、就職前から高いTOEICスコアを持っている人も多く、英語便の新入社員研修で提出されている英文の水準は年々上がっているように見えます。しかし、業務に慣れていないため、新入社員らしい間違いも添削でいろいろ見られます。当記事では、英語便提供の新入社員・内定者研修で添削講師から指摘が多かった項目上位5つをご紹介しています。

 データは、2017年~2018年に英語便「戦略的ビジネスEメールライティングコース」を新人研修、内定者研修で採用いただいた企業様(製造、IT、保険、サービス業、その他)からのご提出よりランダムに100名様分を抽出集計しています。

Ranking No.1 – Eメールあて名の誤り

 Eメールのあて名については、慣習が日本語と英語でかなり異なるため新入社員にかかわらず、不適切な記載がよく見られます。

 以下の4例はいずれも不適切な記載です。Marcel Morinという人へメールを出すときのあて名例で説明しています。

(不適切1) Dear Marcel, Eigobin Corp,

 日本語のメールでは、「株式会社英語便 山田様」のように記載することが多いですが、英文メールの宛先に会社名は記載しません。ただし、部門担当者の名前がわからないときは、Dear Sales Manager,のような記載を使うことがあります。

(不適切2) Dear Eigobin Corp,

 会社名をあて名には使いません。担当者名がわからないときは、「ご担当者様」という意味のTo whom it may concern, またはDir Sir or Madam, を使います。サポート部門があるときは、「カスタマーサポート様」Dear Customer Services, のような記載も可能です。

(不適切3) Dear Mr. Marcel Morin, または (不適切4) Dear Marcel Morin,

 誤りということではないのですが、Dear + フルネームの記載は一般的に使われません。 
以下はあて名として正しい記載例です。

Dear Marcel,        Dear + 名前
Dear Mr. Morin,     Dear + Mr./Ms + 姓
Marcel,              Dearなし、名
Mr. Morin,       Dearなし、Mr./Ms + 姓

※ Dearの用法については、記事「英文メール – Dear って本当に使って大丈夫?」も参考にしてみてください。

Ranking No.2 – 定型挨拶文の不適切利用

 英語のEメールを書くときに、よく使う定型挨拶を覚えておくと便利ですが、場面によっては定型挨拶が内容と合わないこともあります。

(例1)文頭挨拶が不適切な例

Dear Mr. Dunber,

I hope you are staying cool in this summer heat.

I am emailing to tell you that production at the Kawasaki plant has been temporarily halted due to the earthquake on July 5th .

 上記のメールでは、I hope you are staying cool in this summer heat. 「夏の暑い季節、あなたが涼しく過ごしているとよいのですが」というとてもフレンドリーな挨拶がはいっています。英語としては完璧なのですが、継続する内容が、「地震で工場の操業が中断している」という急を要する内容です。このような場合は、フレンドリーな挨拶は省略し、いきなり本題に入るべきです。

 以下のような「会議をセットアップ」するといった連絡や定期的な報告などでは定型挨拶が当てはまります。

(定型挨拶が適切に使われている例)

Dear Ms. White,

I hope your business is going well.

As I mentioned last week, we are holding an international conference on September 15th.

(例2)文末挨拶が不適切な例


Please accept my sincere apology for the mistake regarding your name in the customer list. The modified list is attached.

Thank you in advance. Once again, I apologize for the mistake.

Regards, Sincerely,

Yuko Kamikawa
Eigobin Corp.

 上記のメールでは、定型挨拶、Thank you in advance, が「よろしくお願いします。」という意味合いで使われていますが、本文は、自分の誤りに対して謝罪しているものです。読み手になにかを依頼する内容ではないので、ここでは不適切です。また、しめくくりの挨拶
Regards, はフォーマルな挨拶ですが、「それでは」というニュアンスがありお詫びのメールにはややカジュアルです。お詫びの挨拶の締めくくりはSincerely,の方が適しています。

Ranking No.3 – 不適切な日付、数値、期限の記載

SMS/SNSの普及に伴い、日付や数値の記載はより簡易化され、カジュアルな文章のやりとりが増えてきています。しかし、社外の人に宛てるメールや正式な文章ではフォーマルスタイルで書く習慣をつけておくことをお勧めします。

以下は、添削でよくある3つの誤りパターンです。

(例1) 日付の記載

Could you send me the estimate by December 25th?

December 25 でも意味は通じますが、フォーマルライティングでは日付は、1st 2nd 3rd … のような表記になります。

※ 日付記載の詳細は記事「英文メール – 日付の書き方」を参照してください。

(例2)レートの記載

It is essential that we raise the commission by 10%.

〇%の増加、減少という場合、前置詞のbyが必要です。

(例3)「締切りを過ぎている」という記載

「期日を〇か月過ぎています」「予定より〇日遅れています。」という記載は
日本語から直訳してしまう文がよく見られます。

The payment of the due date has passed is 2 months overdue/past due.

 数値や期日の表記は英語特有の表現もあります。すべてを暗記するのではなく、業務で必要な表現一覧を自分で作成して、一度ネイティブ添削チェックを受けておくと役に立ちます。

Ranking No.4 – 冗長な記載・誤った単語の利用

 冗長な記載や、誤った単語の利用は、書きなれた人の文章にもよく見られます。以下は特に新人研修でエラー多かった項目の添削例です。

(1)冗長な記載

I am writing in relation to arrangement to arrange a meeting.

 定型句I am writing in relation to~を使って書かれた文です。添削前は文法的にも問題がありますが、「ミーティングを準備することに関して」と日本語でもやや冗長な記載になっています。「ミーティングを準備するために」と書けば十分です。

(2)日本語からの直訳誤り

We would like to rental rent a conference room.

 rental=レンタル は、名詞、形容詞です。動詞の「借りる」はrent を使う必要があります。

Our production capacity reached a limit is at 100%.

「工場が現在フル稼働で、追加受注が難しい」という課題の提出でよく見られた表現です。
“is at 100%” 以外に、The plant is at full capacity. 「その工場はフル稼働です」という表現も使えます。

Ranking No.5 – 不適切なメールタイトル 

 英語で適切なメールのタイトルを書くことはかなり困難です。以下はよくある添削例です。

(1)Subject : Sorry for mistake of your name Contact list error

 配布した参加者一覧に間違いがあったので訂正を再送するメールです。訂正前でも内容は伝わるのですが、同僚ではなく、クライアントや社外の人に送信するには、口語的すぎます。 訂正についてのメールは、revisionを使って Revision of customer listのような記載も可能です。

(2)Subject: About Production delay

 「~について」というAbout ~ というタイトルは誤りではなく、意味は通じます。しかし、この場合Production delay 「生産の遅延」で十分内容が伝わるのでaboutは不要です。

(3)Subject: About Regarding our products

 項番(2)の例と違い、our products だけでは意味が通じないので、この場合「~について」という記載が適切です。ただし、about ~は同僚へのメールでは問題ありませんが、クライアントや社外の人に送信するにはややカジュアルです。Regarding ~ 「~について」を使う方が適切です。

(4)Subject: Answer to your Request regarding sales tax

 ~への返信、というReply to ~ , Answer to ~ という記述もよく見られましたが、冗長で必要ありません。ほとんどのメールソフトで、Re: (タイトル)  と自動追加されるので、返信であることは明確に伝えられると思います。

以上、新入社員研修、内定者研修でよくある間違いの一部をご紹介させていただきました。これから英文メールにチャレンジされる方、また、まだ慣れていない方はぜひ参考にしてください。

フォローする

コメントの入力は終了しました。