TOEFL・TOEIC のエッセイ対策とパラグラフ数の話

ライティングの試験対策

 英文添削サイトでは、試験対策本からの練習問題、予備校の宿題、または留学先の学校の予習など、日々様々な英文の提出がある。TOEFLやTOEICのような同じ資格試験のライティングでも、書き手がスタイルをどこでどう学んだかによりかなりの違いがみられる。

 資格試験のライティングについてはスコアの指針はあっても、「これが正解」というものはない。試験対策本の著者や予備校の講師陣は毎回のように自ら受験し、様々なライティングパターンを試している。スコアを上げるための施策を研究した結果、生み出されるものが、独自の「試験対策」である。

TOEFL iBT Independent Writingのパラグラフ数

 熱心な学習者は複数の対策を見比べて「どちらが正しいのか」という質問をしてくることがある。たとえば、TOEFL iBT Independent Writingのパラグラフ構成である。 以下、AとBを見ていただきたい。

TOEFL パラグラフ構成

 TOEFL iBTのライティングでは、Integrated WritingとIndependent Writingの2つが出題されるが、上記はIndependent Writing(与えられたトピックに対して自分の意見を300ワード以上で記述するもの)の構成である。エッセイでは、Introduction(導入部)で、自分の主張を述べ、各Bodyパラグラフでその理由と具体例を述べ、Conclusion(結論)で自分の主張を再度述べる。

  Aの形式は、IntroductionとConclusion の間に2つのBodyパラグラフが挟まれている。日本国内で出版されている対策本、TOEFL専門校は Aのスタイルを推奨していることが多い。一方、Bは3つのボディーを持つ、より一般的な形といえる。 海外出版社のTOEFLテキストではAもあるがBで掲載しているものも多い。A、Bともに300ワード以上のエッセイを書く必要がある。つまり、Aスタイルのエッセイでは、理由の説明や体験を膨らませてそれぞれのBodyを長めに書く必要がある。

2ボディーパラグラフ推奨の理由

 国外・国内の学校、また出版物や各専門校のライティングの試験対策の違いについては、英語便もかなり慎重に調査を行っている。パラグラフ数の差異については、英語便のTOEFLコースで提携している国際基督教大学のポールワーデン准教授、TOEICのロバートヒルキ先生はじめ、国内TOEFL専門予備校の講師陣などのご意見を伺った。なぜ、TOEFL専門校においてIndependent Writingの2ボディーパラグラフを推奨するかというと「限られた時間内で3つの理由を考えることが学習者にとって難しいから」というのが有識者の回答である。つまり教授や講師陣の研究結果、自分の主張に対して、3つの理由にそれぞれのサポートポイントを挙げて書くより、2つの理由を考えてそのサポート理由を自分の経験などを含めて詳しく(長く)書いていく方が書きやすい(簡単である)ということである。つまり、Aの2パラグラフの方が高いスコアが取れますということではなく、2でも3でもいいが、2の方が書きやすいですよ ということである。

 すでに、Bスタイルの3Bodyでエッセイを書きなれている人は、2Bodyだと不自然に感じたりロジックを展開しずらいと感じる人も多い。そういう人は3ボディーでエッセイを作成することで問題ない。もし、本番試験で2つの理由しか思いつかなかったらA形式の2ボディーで書けばよいのである。そして、有識者の意見に従うと、まだ自分のスタイルがなく、これからTOEFLのIndependent Writing の学習をしようという人や、エッセイを書きなれていない人は2Bodyではじめる方が良いといえるだろう。

パラグラフ数はスコアに影響しない

  Independent Writingのボディーパラグラフについては、実は2つか、3つかという議論ではなく、いくつのパラグラフ数で書いてもスコアに影響することはないと考えられている。重要なことは、Introduction/Conclusion で自分の主張をはっきり述べていること。 Body パラグラフで理由とその裏付けがしっかり入っていることである。ただし必要ワード数300ワードに届くようにボディーパラグラフの長さを調整する必要がある。TOEFLだけでなく、TOEIC SW (Speaking & Writing)試験でも、300ワードで意見を記述する問題がある。そして TOEICのエッセイもパラグラフ数は自由で問題ないと考えられている。

 (注)ただしTOEIC SW試験の意見を記述する問題では、Choose from the following three ~: のように3つのリストから1つを選ぶ問題が出題されることがある。この場合は3つの事項それぞれに触れて論じる必要があるため、必然と3ボディーの形式になると思われる。

自分に合ったスタイルを見つける

  受講者からライティングの試験戦略について「どちらが正しいですか?」という質問があった場合、無責任なようであるが「自分で書きやすいと思う方を選んでください」という回答にならざるを得ない。英語便の提供しているAcademic Writing TOEFL iBT®コースでも、独自戦略を提供しているが、Independent Writingのパラグラフ数に関しては、Paul Wadden 教授と相談のうえ、はじめての人へは2Body推奨、書きなれている人は自由に設定していいこととした。 結果、当コースでの過去3年間のIndependent Writing提出のパラグラフ数はほぼ半々(2Body : 3Body = 50% : 50%) という結果になっている。

  海外に留学したら、パラグラフだけでなく句読点の打ち方や語句の選択など、教授からかなり違ったことを指摘され戸惑っているというメンバーの体験談も多い。ライティングスタイルについての指導は、実は教授の年齢や考え方によっても変わってくる。一度学んだものが覆されると不安に思うことも多いと思うが、国外、国内にかかわらず、基本的には参加したクラスのカリキュラムを信じて学ぶという姿勢が大切だと思う。ただし常に「ライティングにおける世界基準の正解はない」ということを認識し、自分に合ったスタイルをどんどん取り入れて進化する姿勢が大切である。

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