Improve「良くする・向上する・高める」という動詞は利用シーンが広く、添削に提出される文章で最もよく使われている単語の1つです。しかしながら、その使いやすさから、1つのエッセイ内で多用されていたり、意味が漠然としてしまっていることもよくあります。当記事では、improveを適切にパラフレーズしたり、意味を明確化するときに使える「良くする・向上する・高める」という意味を持つ類似語をご紹介させていただきます。
Look up – 上向く , Get better – 良くなる
Look upには「状況・景気などが上向く、好転する」という意味があり、悪い状況から良い状況へ変化するニュアンスを出したいときによく使われます。Get betterには「悪い状態の物事・病状などが良くなる、良い方に向かう」という意味があり、体調が回復するという意味でもよく使われます。Look upとGet betterは、フォーマル、カジュアルシーン両方に適しています。
The stock market is looking up.
株式市場は上向いている。
The situation is getting better.
状況は良くなっている。
Jenny is getting better.
Jennyは回復している。
Develop – 成長する・発展する
Developには広義の意味がありますが、「成長する、発展する」という意味を持ち、improveの類義語に分類されています。
I need to develop my vocabulary in order to pass the test next month.
来月のテストを通過するために、語彙力を上げる必要がある。
パラフレーズにおいては、単にimproveからdevelopへ単語を置換するだけでは内容が不明瞭になってしまうこともあります。以下の例では、developを使った文に斜体の単語を加えることで、意味を明確化しています。
The situation is developing nicely.
状況は良い方向へ向かっている。
Biolab is developing promising cloning technologies.
バイオラボは将来性のあるクローン技術を発展させている。
Progress – 進歩する、向上する
Progressには、進歩する、向上する という意味があります。上記のdevelop同様、意味を明確化するために(斜体部分)を追加しています。
The situation is progressing significantly.
状況は大きく進歩している。
I’m progressing well in school this year.
今年は学校で(学力が)大変向上した
※ Progressは、make process というフォームでもよく使われています。 |
Advance – 前進させる、促進する
Advanceは、「前進させる、促進する」という意味で、状況、人両方を主語にすることができます。
The situation is advancing well.
状況は良い方向へ前進している。
She advanced quickly in her class.
彼女はクラスで早く上達した。
His chess playing is really advancing.
彼のチェスは本当に伸びている。
Look promising – 見通し/先行きが明るい
Promising 「前途有望な、将来が明るい」という語を使った、look promisingという表現で「見通し、先行きが明るい」という意味になります。キャリア、経済、景気などが、順調に上向いているというシーンでは、improveの代わりにlook promisingを使うと効果的です。
Her career as a researcher looks promising.
彼女の研究者としてのキャリアは見通しが明るい
My chances of getting into my first choice university is looking promising.
第一希望の大学へ入れる見通しは明るい。
※ look promisingを使って、現状が悪いものや、落ち込んでいる状態が回復するという意味をあらわすときには注意が必要です。添削では主語があいまいで意味が不明瞭になっている文をよくみかけます。以下は、look promisingを使った実際の添削例です。(内容を明確にするため、講師が赤字部分を追記しています。)
(1)Her recovery from her kidney infection looks promising. (2)The rescue efforts in the aftermath of the earthquake looked promising. |
Make strides – 進歩・前進を遂げる
Make stridesは、「進歩・前進を遂げる」という意味です。ビジネスシーンでよくみられる表現ですが、アカデミックライティングにおいても使われています。stridesは常に複数形になる点に注意してください。
These days many research institutions are making strides in quantum computing.
最近は多くの研究機関が量子計算を進歩させている。
Refine – 洗練する、磨く、改良する
Refineは、あるスキルやゴールのある過程を、「洗練する、磨く、改良する」という、意味で、improveよりは強いニュアンスになります。より具体的な内容の向上、改良についてはrefineの利用が適切です。
This year the coach concentrated on refining the team’s defense.
今年はコーチはチームの防御力を上げることに集中した。
English education is constantly being refined in the Japanese school system.
日本の学校教育システムにおいて、英語教育は常に改良されてきている。
I refined my accounting techniques by working at a number of different companies.
多くの様々な会社で働くことにより、会計技術を磨いてきた。
※ refineと似た意味の単語では他にhone (能力に磨きをかける)、cultivate(教育で人を プロに育てる)などがあります。また、前述のdevelop(成長する、発展する)も同様に「改良する」という意味で使われています。 |
Evolve – (徐々に/着々と) 発達する、発展する
Evolveは、上記で説明したrefineと近い意味がありますが、「徐々に、着々と」といった積み重ねるニュアンスがあります。
The company’s new approach to customer service evolved over the last decade, and this year its customer satisfaction was rated in the top ten.
会社の新規アプローチとしてこの10年でカスタマーサービスを向上させてきた。そして今年の顧客満足度でトップ10に到達した。
He evolved his theory on nuclear fission to the point where it could be experimentally tested.
彼は 核分裂理論について、実験的に分析できるレベルにまで発展させてきた。
以上、improveのパラフレーズで使える表現をご紹介しました。他にも grow, flourish, mature, burgeon, blossom, bloomなど、improveをパラフレーズできる単語や表現はかなりたくさんあります。いずれの語句も、単に置き換えるのではなく、場面やニュアンスを正しく抑えて、必ず適切な構文へ変化させて使うようにしてください。細かいところに気を配ることでライティングがより洗練されていくと思います。