「福利厚生」は英語で何という? – 英訳が難しいビジネス英語表現

デイビッドセインさん  辞書を引いて英訳した単語が、海外では異なって解釈されていることがよくあります。当シリーズでは英語、日本語両方を熟知し、多数の英語書籍を出版しているデイビッド・セインさんが言葉の意味や用法、また文化背景について解説します。

今回は第1回「福利厚生」です。

外国人が見た日本の福利厚生

「福利厚生」なんて言葉、日本人でも会社員でなければ知らないのではないでしょうか?
一般的には、企業が従業員に対してお給料の他にプラスで支給する報酬を指します。年金や健康保険、雇用保険、有給休暇、家賃補助などさまざまで、大企業であればあるほど充実したサービスを提供しているようです。
これを英語にしようとしても「福利って英語でどう言えばいいの?」「厚生の意味は?」と、なかなか単語が浮かばないかもしれませんが、「福利厚生」→「従業員の利益になること」→「従業員」+「利益」とイメージを発展させ、最も一般的な英訳はemployee benefitsです。略してbenefitsだけでもOKです。

benefitって何?

英語圏でbenefitという言葉は非常に身近ですが、日本人だとあまり馴染みがないようです。単純に「利益、ためになること」と紹介している辞書もありますが、正確には「人や社会の幸福につながる利益・恩恵」を指します。日本語でそのままイコールになる言葉はなく、そもそも日本文化にはない概念のように思います。
仕事の場でbenefitを使う場合「現金給付以外の補償」を表し、fringe benefitsなら給与の他に従業員に支払われる「付加給付」、つまり有給休暇や健康保険、恩給などを指します。またbenefits in kindは主にイギリス人が使う言葉で、「現物給付」を意味します(in kindで「現物で、物品で」)。
軽食や駐車場の提供といった「ちょっとした福利厚生」に対しては、perks(特権)または perks of the job(仕事上の特権)と言うこともあります。ちなみにperksという語は、今ではあまり使われなくなったperquisites(特権、恩恵)が語源です。

外国人から見た日本の福利厚生

福利厚生の度合いは、その国の経済状況を反映しています。日本企業は他の先進国と、ほぼ同様の福利厚生を提供していますが、有給休暇をフルに活用している従業員は、有給を取らない人より会社に対する貢献度が低いとみなされる風潮があるようです。また有給休暇は年に10日ほどですが、少なくとも20日はあるヨーロッパやオーストラリアに比べるとかなり少ないです。
過労死や長時間労働による自殺も社会問題になっているように、今後はいかに福利厚生を有意義に使うかが、日本の課題といえるでしょう。

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