ロバート・ヒルキ氏インタビュー 5.英語のロジック

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5. 英文ライティングの難しさ – 英語のロジック

=> 当インタビューの英文スクリプトがこちらからご覧いただけます。

 英語のロジックはもちろん、ひとつの成功要因です。TOEFLライティング(Independent Writing)の例を見てみると、まず主題を文章の最初に書くことが成功の秘訣です。私は何回かTOEFLの試験を受けていますが、一度あえて文法ミスの多い英語を使って、しかし文章構造はパーフェクトに書いてみました。最初に主題、そして明確な理由、最後に再度主題を繰り返します。英語はひどかったにも関わらず、高いスコアを受け取りました。別の時には、完璧な文法の英語を使って、構造のない文章を書いてみたところ、点数は低いものでした。明らかに、論理構造は英語の試験においてスコアの大きな要因を占めています。

 その英語便のアンケートは解ります。よくある話です。日本人は、よく「起承転結」を使います。背景を述べ、理由を述べ、最終的に読者を主題へ導きます。英語では通常これを行いません。できないとは言いません。ときどきは行います。特に相手から、強い反論が予測されるときはそうします。“Cooking the frog” という英語表現を聞いたことがありますか?あなたは、どういうわけかカエルを料理します。ポットには煮えたぎったお湯が入っています。あなたはカエルを煮えたぎったお湯に入れますが、カエルは飛び出してしまいます。もし、カエルを煮えたぎったお湯ではなく、適度に暖かいお湯の中に入れたら、カエルは心地よくなるわけです。そして最後にはゆでられてしまいます。逃げられません。この比喩はひとつの事例です。一部の読み手または聞き手から、強い反論が予測されるときは、アメリカ人でも「起承転結」スタイルを使うのです。しかし英語ではそれは時々です。デフォルトは結論が先に来る 結→承 (Main point ->Reason)スタイルです。主題が最初に来ます。例えば、in order toを使って有益性を先に述べるようなときもこれに当てはまります。“In order to create a global minded managers, your company should implement Link Global Solution training.”(※1) “In order to achieve the highest possible on the TOEIC SW TEST, you should use Kenkyusha’s book. “ (※2)

※1 Link Global Solution — ヒルキ先生が異文化コミュニケーションのセミナーを提供している企業です。インタビューNo.1で、セミナーについて触れているのでここで会社名を引用しています。 
※2 Kenkyusha’s book — 当インタビューはヒルキ先生と英語便の共著「TOEIC Writing問題集」(研究社)出版に併せて行われたため、例文に当書を引用しています。

 Q.「アメリカ人は論理的なエッセイ構造を小学校で学ぶ」という話がありますが、本当ですか? 

 はい、本当です。これは面白い話ですね。9歳のときからのことは覚えていますが、たくさんのエッセイを書かなければなりませんでした。内容は“ Pizza is better than hamburger”.「ピザはハンバーガーより良い」といった単純なものです。先生は、スペリング、文法、単語の使い方などをチェックします。しかし、先生が一番に言うことは“This is not clear what you are trying to say.” 「言おうとしていることが不明瞭です」 “Where is the logic connection between them?” 「それらの論理的な関連性はどこにあるのですか?」ということでした。

 私の同僚の1人がカナダに住んでいます。彼の娘は日本生まれでカナダへ移動するまでは日本で育ちました。現在小学2年生です。 彼は、娘のエッセイについてメールを送ってきました。エッセイは”Eagle”「ワシ」についてでした。彼女のエッセイは、すでに、「主題+理由+主題」の形で “Eagles are splendid birds. I have three reasons. (~ reasons ~) Eagles are splendid birds.” のように書かれていました。そう、結→承→結スタイルが小学2年生ではじまっているわけです。日本とは全く違います。日本の学校では、先生がよく生徒に何かを読んで「作者は何が言いたいのか?」といった質問をします。行間を読む方法を学ぶわけです。論理構造が明確に出ていなくても問題ないわけです。

 1ついえることは、ソーシャルメディアを見ていて気が付きましたが、ライティングスキルという点では、現在のアメリカの子供たちはかなりひどいです。フォーマルな構造から遠ざかる傾向があるのかもしれません。私が高校に行っていたころは構造を学び、構造に従って書いていました。つまり、傾向として、アメリカ人は構造を学びます。少なくとも私の年代はそのように学びました。

以上でライティングアドバイスは終了です。ロバート・ヒルキ先生の残りのディスカッションについては後日別コラムとしてご紹介させていただきます。

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