イギリスには、長い歴史があり、国の構成は複雑に変化してきています。The UK や Britainといった表記を知っていても、意味を正しく理解していないと公式文書などで誤った記載になってしまう可能性もあります。当記事ではイギリスに関する表現をまとめています。
The UK or Britain?
以下、用語The UKとBritainについて地図をみながら確認してみましょう。
The UK は The United Kingdomの略で、この部分だけを見ると、「連邦王国」という意味になります。The UKの正式名称は、The United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandという長いものになります。The UKは、左の地図にあるようにEngland「イングランド」、 Wales 「ウエールズ」、Scotland「スコットランド」に加え、 Northern Ireland「北アイルランド」の4つの国で構成されています。
Britainの正式名称はGreat Britainであり、左の地図の、England「イングランド」、 Wales 「ウエールズ」、Scotland「スコットランド」の3つの国の部分になります。 |
※ Northern Ireland「北アイルランド」についてはイギリスに属する国、地域、州など異なる表現が使われることがありますが、一般的にはcountry「国」として記載されています。 |
The UK内の国と議会
前項の説明のとおり、The UKにはEngland「イングランド」、 Wales 「ウエールズ」、Scotland「スコットランド」、Northern Ireland「北アイルランド」という、それぞれのcountry「国」が所属しています。4つの国すべてで英語が話されていますが、それ以外にそれぞれの国の固有の言語、独自の伝統があります。
Wales 「ウエールズ」、Scotland「スコットランド」、Northern Ireland「北アイルランド」はそれぞれ独自のParliament/National Assemblies「議会」を持ち、それぞれの国で特有の統治を行う権限を有しています。そして、ロンドンにある議会はParliament of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland 「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国議会」という名前で、これはEngland「イングランド」の議会ではなく、本国とその領土における他の全ての政治的機関を上回る最高権力となっています。
イギリスを説明するサンプル英文
以上で説明したとおり、イギリスは複数国で構成されているため状況が複雑であり、しばしば文章で説明が必要になることがあります。以下、イギリスの状況を説明するいくつかの例文を示します。
Although Wales is part of the UK, they have their own language that is spoken by about 30% of the population.
ウエールズはUKの一部でありながら、人口の30%の人に話されている独自の言語を持っています。
Scotland’s First Minister extended the Covid-19 lockdown last week, despite restrictions being eased in England.
イングランドでは制限を和らげたのに対し、スコットランドの首相はコロナのロックダウンを延長しました。
People living in Northern Ireland can choose to remain part of the European Union (EU) after Brexit by applying for an Irish passport.
北アイルランドに住む人々には、アイルランドパスポートを所有することによりBrexit(英国のEU離脱)のあとEUの一部に残る選択肢があります。
There are two types of borders between the UK and Europe: the land border between Ireland and Northern Ireland and the sea (maritime) borders with many countries in the EU.
イギリスとヨーロッパの間には2種類の境界があります。アイルランドと北アイルランドの間の陸地の境界と、(イギリスと)EUのたくさんの国との間にある海の境界です。
ピリオドを使う?使わない? 以前の記事 USA or US? でもご説明していますが、省略形の記載はピリオドを使ったU.K.という記載も、ピリオドなしのUKも正式に使われているという実情があります。British style ガイドではピリオドなし(UK)を規定していますが、その他の協会やガイドによってスタイルが異なります。フォーマルなライティングにおいては、提出先の機関やビジネスが準拠するガイドを確認してください。 |
以上、イギリスに関する表記について簡単に説明させていただきました。興味のある方は、インターネットなどでぜひイギリス歴史を学習してみてください。たくさんの方が、イギリスにより興味を持っていただけるとうれしいです。