God or god? – 宗教観により意味が変わる英単語

英文法・語法

 「神」を表す単語godについては、英語便の添削結果に対してのご質問や和英翻訳者からの語法のご質問がかなり多く寄せられます。宗教に関する用語は取り扱いが大変難しく、文法的に正しく書かれていても、異なる宗教の読み手に不快感を与えてしまうことがありえます。「神」表す語はGod, god, Gods と様々な書き方がありますが、それぞれは宗教観の異なる読み手にどのような印象を与えるでしょうか?当記事では英語圏と、日本の例を挙げ、語法として正しく、また読み手の宗教観に失礼にあたらない用法をご紹介します。

The Christian “God” – 特定の神

 私が住んでいる北アメリカでは、異なる宗教を信仰するたくさんの人々が住んでいます。しかしキリスト教を信仰する人の割合が最も多いため、英単語として「神」を表す最も使われる単語はGod だと思います。頭を大文字で記載するのは、キリスト教徒がGodを人の名前のように考えているからです。Godは天地を創造した特定の1人を指します。
The Christian “God”を使った例文を見てみましょう。

Try not to worry too much. God has a plan for you. You just have to have some faith and see what comes in the future.
心配しすぎないようにしてください。神様はあなたを導きます。あなたは信仰を持ち未来の出来事を受け入れる必要があります。

 しかしながら、単語Godはカジュアルな日常会話でも多く登場します。これらの用法では宗教的な要素は薄いのですが、人々が信仰するキリスト教の神様は1人という習慣から頭大文字のGodが使われているわけです。例文を見てみましょう。

God only knows how long I’ve been waiting for this bus.
どのくらいバスを待つかは神のみぞ知る。

God damn it! I’m never going to make it on time. That bus took forever!
ちくしょう!時間に間に合ったことがない。このバスは永久に時間がかかる。

For God’s sake James, please don’t yell at me! It’s not my fault I was late!
ジェームズ、どうかお願いだから私に怒鳴らないで。遅れたのは私のせいではありません。

 ※ 上記の3例は実際会話などで使われていますが、キリスト教を信仰する人の中には、神様の名前であるGod を使うことに不快感を表す人も少なくありません。単語Godを使うときには、読み手の宗教や反応を十分に考慮して、注意して使う必要があります。Godだけではなく、同様の宗教ワード Hell, Jesus Christ, The Virgin Mary.にも同様の注意が必要です。

The “Gods” – 複数の神

 宗教によっては神様を特定の1人と考えない信仰もあります。日本もそうだと思います。神道では、Kami (日本語の神を英語化)と記述する場合もあります。この場合、特定の人を指さなくても、存在や信仰に敬意を表す意味で頭1文字を大文字にすることがあります。頭1文字を大文字にすることで一般概念の単語(kami/god)と区別を図るためです。また、複数の神様の意味でShinto Godsのような記載を使うこともあります。この場合も同様に(複数の)神様に敬意を表す意味で頭1文字を大文字にし、一般概念と区別を図っています。

※ キリスト教の世界では God が特定の1人を指すことを上記で説明しましたが、小説や映画では
あえて別世界を表現するためにGods と複数形を使うものも見られます。例えばゲーム・オブ・スローンズ (Game of Thrones)では、宗教的な意味で “Gods” と複数形が使われています。ストーリーでは、キリスト教に近い世界が登場します、しかし映画を見ている多数はキリスト教徒であり、通常はGod という単語を使っている人たちです。映画でGodsという語が登場することで、観客は通常の神とは違う感覚を持つわけです。

The Non-Specific “god” – 一般概念としての神

 特定の神様ではない、外部宗教の神様(一般)を指す場合、または精神やパワーなどを表す場面では一般概念として a god と小文字で記載されます。例えば北欧神話に登場するThor(トール)やOdin(オーディン)はgods と記載されています。例文を見てみましょう。

Many older civilizations like the Mayans or the Egyptians worshiped multiple gods.
マヤ人やエジプト人など多くの古い文明では、複数の神を崇拝していた。

Humans often turn to their gods in times of trouble.
人類はしばしば苦境に陥ると神々に頼る

 一般論として小文字のgodの利用は、キリスト教の意味するGodを使うより安全であるといえます。小文字を使うことで特定の人や事柄ではなく、アイデアやコンセプトを示しているということになります。

Personal Use & Expression -個人の信仰や感性による違い

 言語には多様性があり、使い方は個人の信仰や感性に頼るところがあります。宗教を否定し、宗教は利益より害をもたらすと考える人は、大文字で始まるGodやGodsに拒否反応を示す人もいます。また、周りにいる人々の信仰を理解することはできないと考え、安全のために常に一般概念のgodを使うことに徹する人もいます。一方、信仰心を表すために常に大文字Godを使う信仰の厚い人もいます。

 英語を第2言語として学ぶ人へのアドバイスは、「慎重に安全な利用を心がける」ということです。特に大文字単語のGod, Gods使う時は、含まれる意味合いを慎重に考える必要があります。以下の2つの例文を見てみましょう。

(A) The main character in this story has godlike powers.
   
(B) The main character in this story has Godlike powers.
   
 (A)も(B)も日本語に訳すと「この話の主役は人間離れした力を持っています」という同じ意味になりますが、英語ネイティブスピーカーにとっては2つは違う意味になります。1つめのgodlike powers(神業のような、人間離れした力)は一般論、マンガにあるようなスーパーパワーや、神話に出てくるすごい力のようなイメージです。2つめのGodlike powersは聖書に書かれているキリスト教の神の力と結びつけられます。

最後に

 God/god (大文字/小文字)やGod/Gods(単数/複数形)の使い分けは文章の意味を大きく変化させます。優れた書き手や話し手になるためには、正確に言葉を選ぶことを心がけ、言葉の意味と、読み手がどう理解するかを常に考えることです。信仰心のあるなしにかかわらず、考慮された英文にはあなたの考えや、感性がより優れた言葉として現れてくるはずです。

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